大阪大学大学院医学系研究科の藤本学教授(皮膚科学)らの研究グループは、グーグル合同会社(Google)と、AI技術を活用した皮膚状態検出モデルの有効性を検証するための共同研究契約を昨年夏に締結した。
今回の共同研究では、グーグルが開発した、写真に基づいて皮膚の状態を検出する機械学習モデルについて、日本国内での有効性の評価と検出精度の向上に取り組む。共同研究を通じて、皮膚疾患検出でのAIモデルの公平性をより高め、日本だけでなく、世界中のあらゆる人が皮膚の状態や治療法に関するより適切な情報にアクセスできるよう取り組む。
皮膚疾患に悩むすべての人に正確な情報を皮膚の状態に不安を抱える人は世界で約20億人いるとされ、そのうち約70%以上が、まずインターネットで検索をして、症状の特定や治療法を探し始めている。
一方で、オンライン上には、不正確な情報や有害な情報も存在する。
グーグルは、外部の専門家らとともに、写真に基づいて皮膚の状態を検出する機械学習モデルを開発し、2020 年にNature Medicineで発表した。さらに2023年には、このモデルを活用して、ユーザーがGoogle Lensで皮膚の状態を検索できる機能を提供した。
これらの機械学習を活用することで、オンライン上の不正確な情報に頼らず、あらゆる人が皮膚の状態や治療法に関するより適切な情報にアクセスすることが可能になる。
共同研究では、①グーグルが開発した写真に基づいて皮膚の状態を検出する機械学習モデルの日本における有用性の検証、②同モデルの検出精度の向上-を目指す。
AIモデルを安全に運用するためには、多数の異なる集団での有効性を評価する必要がある。共同研究では、大阪大医学部附属病院で撮影された約1万人の皮膚写真を個人が特定できないように完全に匿名化。また高水準のセキュリティと暗号化の基準に準拠した環境下で保存した上で、解析する。
研究に使用されるデータは阪大大学院医学系研究科が管理し、個人を特定できる情報は研究者が解析を行う前に完全に削除される。