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細菌「シュワネラ」でカーボンナノチューブ分解 名大が企業と世界初開発

名古屋大学の堀克敏教授の研究グループと化学メーカー「日本ゼオン㈱」、同大発ベンチャー「㈱フレンドマイクローブ」は共同研究で、カーボンナノチューブ(CNTs)を細菌『シュワネラ』で分解する新手法を開発した。

これまでCNTsが環境に放出された場合の影響が解明されておらず、早急な対応策の策定が産業化の大きな課題であった。だが、今回の研究により活路が見いだされた結果となっている。

堀教授らは電気伝導性に優れる「単層カーボンナノチューブ(SMCTs)」の細菌を利用した効率的分解法を開発した。この方法では、有機物の酸化分解を行う「フェントン反応」をシュワネラで引き起こす。研究によれば、90日間で約6割のSMCTsを分解することに成功している。

研究グループは「環境中に広く存在する細菌を利用して、CNTsを安全かつ持続可能な

方法で分解する新たな可能性が開かれた」と説明。「これは、廃棄物処理技術の改善、環境汚染の軽減、そして長期的には人間と生態系の健康へのリスクを減少させる道を提供する」と評価している。