大阪大学の根本孝裕特任准教授らの研究グループは26日、たんぱく質スクリーニング実験を解析するアルゴリズム「ACIDES」を開発したと発表した。ゲノム創薬などの医療分野を飛躍的に前進させる可能性がある。
これまで次世代シーケンシング(NSG)による統計的な誤差は大きいと分かっていたが、それがたんぱく質スクリーニングに対して与える影響はよく分析されていなかった。
研究ではNGSによる誤差がたんぱく質スクリーニング実験においてどのように伝搬されるかを調べた。PCR増幅などによって増倍される高分散なNGSノイズは負の二項分布によって統計的に記述できることが知られていたが、その統計モデルをたんぱく質スクリーニング実験の数理モデルと最尤(さいゆう)推定法を使って組み合わせた。
既存の複数のアルゴリズムと系統的に比較したところ、今までにない精度でたんぱく質スクリーニング実験を評価できることが明らかになった。提唱された演算がACIDESとして公開されている。
研究グループは「人の細胞やオルガノイドを用いた研究により得られた実験結果をACIDESと組み合わせることで、疾患に関わるたんぱく質のスクリーニングへの活用などが見込まれており、将来の個別化医療実現に向けて展開される」としている。