文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
東日本大震災の震源域で断層崖を発見 海洋プレートのズレによる崖の観察は世界初 新潟大など5機関

新潟⼤学や東京海洋⼤学など5機関からなる国際研究グループは26日、東日本大震災の震源域で断層崖を発見した。海底が水平に80メートル以上動いたことによりできたものだと見られている。海洋プレートが沈み込む境界がずれることで発生した地震で現れた断層崖を海底で観察するのは世界で初めてとなる。

津波は海底地形の急激な変化によって発生するため、震災時に海溝で起こった地形変動を知ることは重要だ。だが、日本海溝の海底が水深6500メートルを超える地点にあり、現地調査をする手段がないために12年が経っても海溝で何が生じたのか把握されていなかった。

無人海底観測機を使った潜航調査では、地震で隆起した地形を横断しながら海底の状況を観察するとともに、距離と⽔深を測りながら海底地形を記録した。その結果、⾼さ59メートルと計測された隆起地形の東の縁に落差26メートルの垂直に近い崖があり、その下⽅斜⾯は崩落したとみられる多量の岩塊で埋め尽くされていることが判明した。

地形の詳しい解析から、断層によって東に80~120メートル動いた地盤の先端が急激に約60メートル持ち上げられ、断層沿い崩れたことによって崖が形成されたと推定される。⽇本海溝以外の地域も含めて、海洋プレートが沈み込む境界がずれることで発⽣した地震で現れた断層崖を海底で観察した報告は世界で初めて。

研究グループは「今後も有⼈潜⽔艇を含む外国の研究船による⽇本周辺の海溝の調査が複数計画されており、これらの調査によって超深海の研究が格段に進む」としている。