自然科学研究機構生理学研究所生命創成探求センターの曽我部隆彰准教授らは、環境中のさまざまな刺激を感知するセンサー「TRPチャネル」の刺激物質が昆虫忌避剤として働くことを発見。その作用メカニズムを神経および分子レベルで明らかにした。2メチルチアゾリン(2MT)が新たな昆虫忌避剤の有力物質とされている。
薬剤を用いた害虫対策においては殺虫剤と忌避剤の併用が重要だが、虫を近寄らせない忌避剤の開発は、昆虫の忌避行動の仕組みに関する知見の不足から遅れている。
研究ではマウスのTRPA1刺激剤として知られる2MTという食品添加物にも用いられる揮発性の物質に注目。その忌避効果についてキイロショウジョウバエをもちいて検証した。
その結果、非常に強い回避行動が観察された。嗅覚センサーを介して虫を刺激することが重要であると明らかになっている。
研究グループは人の感覚を担う重要なセンサーであるTRPチャネルが、昆虫忌避剤の新しい標的になる可能性もあるとしている。