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染色体機能を支えるリング型たんぱく質 九大研究GがDNAから外す仕組み解明

九州大学の高橋達郎教授らの研究グループは、細胞内に近い生理的環境を試験管の中で再現できる「ツメガエル卵抽出液」を用いて、DNAの修復などに必要なたんぱく質「PCNA」を取り外す反応の制御メカニズムを発見した。

グランプローダー複合体はPCNAのDNAへの取り付けを行うたんぱく質で、Atad5は真核生物が持つ4種の同複合体の1つを構成する因子だ。研究グループは、ツメガエル卵抽出液中の4種類の同複合体を全て定量し、Atad5を含む同複合体が全体の3%に相当すると発見した。

卵抽出液から抗体を用いてAtad5を除去すると、PCNAのDNAからの解離が大きく遅延した。このような影響は、他の同複合体を免疫除去した際には観察されていない。さらに、PCNAのDNAからの解離は、PCNAと相互作用するペプチド分子を加えるだけでも遅れていた。

研究グループは「これらの発見は、PCNAを足場として利用するDNA複製、修復などさまざまな反応がどのようにして制御されているのかを明らかにするものだ」とコメントしている。