山口大学の中森雅之教授らの研究グループは27日、指定難病「筋強直性ジストロフィー」が他の疾患に使われる薬剤「エリスロマイシン」が症状を改善する可能性を見いだして有効性を世界で初めて実証したと発表した。今後、安全性と有効性の周知されることより薬事承認につながることが期待されている。
筋強直性ジストロフィーは、成人で最も多い遺伝性筋疾患で、全身の筋力低下や不整脈、認知機能障害をおこす難病だ。患者は、進行する筋力低下により寝たきり状態となり、嚥下(えんげ)・呼吸障害や致死性不整脈・心不全で不幸な転帰をとる。
研究グループは30人の患者に対してエリスロマイシンによる治療を24週間行って安全性と有効性を調べた。その結果、消化器症状と関連する有害事象が多くみられたものの、重篤なものはなく全例で軽快した。このほかに有害事象は見られていない。
研究グループは「今後の第3相治験でより多くの患者さんに対するエリスロマイシンの安全性と有効性が実証されれば、世界初の筋強直性ジストロフィー治療薬としての薬事承認につながることが期待される」としている。