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「副作用は認められない」 岡山大がALS患者に対する新たな治療法を開発 

岡山大学の山下徹准教授と国立精神・神経医療研究センターの共同研究グループは、孤発性 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者5人を対象に、傷害部位を集積する「Muse細胞」製剤の臨床治験を実施した。その結果、副作用は認められなかった。今後、さらに多くの患者を対象にした実験を行い治療の有効性を明らかにしていくという。

ALSには根本的治療薬は存在しないのが現状だが、ALSモデルマウスにおいてもMuse細胞を静脈内投与することで、症状増悪を抑制する効果が報告されていた。それを受けて人間への有用性を調査した。

研究ではALS患者を対象としてMuse細胞製剤の臨床試験を実施。本試験では発症後約1年6カ月の孤発性ALS患者5人を対象に、Muse細胞製剤を静脈内に点滴投与(1 回/月)を半年間行い安全性と有効性をについて評価した。免疫抑制剤は使用しなかった。

主要評価項目であるMuse細胞投与開始後12カ月までの安全性については、臨床試験を進めるうえで問題となる重大な副作用は認められていない。また、副次評価項目である有効性に関しては、症状の進行スピードを緩やかにする傾向が確認されている。

山下准教授は「この幹細胞治療法は点滴による投与が可能な点が特徴で、患者さんの負担が比較的少ないのが特徴だ」と説明。「患者さんに役立つ治療法に繋げるよう、今後とも頑張る」と意気込んだ。