大阪公立大学と日本メナード㈱の研究グループは、サイトグロビン(CYGB)の働きを阻害したメラノサイトでは活性酸素の量が増えることでメラニン色素生成が増加することを解明した。これはシミやアザなどの美容関連の治療法に応用できる可能性もある。
研究グループはこれまでに、CYGBは血管周囲に存在する線維芽細胞(周皮細胞)に発現する「グロビンタンパク質」であり、酸化還元反応を調節することで細胞の酸化ストレスを保護する役割を果たしていることを明らかにしてきた。
メラノサイトもこのCYGBを強く発現していることは他の研究グループによって報告されていたが、その生理学的役割は不明であった。そこで、研究グループはCYGBが強い酸化ストレスからメラノサイトを防御する「酸化還元調節因子」として働いている仮説を立て、遺伝子発現抑制技術を用いてCYGBの発現を抑制したヒトメラノサイトを作成し検証した。
その結果、CYGBがメラノサイト内の活性酸素(ROS)や一酸化窒素(NO)による酸化ストレスを軽減することでメラニンの合成を抑制することを示しており、研究グループの仮説を支持する結果となった。
研究グループは「今回の発見は、シミやアザなどの美容関連の治療法に応用できる可能性だけでなく、皮膚がんであるメラノーマの治療法につながる可能性もある」としている。