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「ポドプラニン」と「コラーゲン」を選択的に阻害 東海大講師らが化合物基本構造を世界初発見

東海大学の渡邊伸央講師らの研究グループは、約700万の既存化合物から人ならびにマウスの血小板のポドプラニン受容体(CLEC-2)とコラーゲン受容体(GPVI)の両方を選択的に阻害できる化合物基本構造を世界で初めて発見した。

抗血小板薬は各受容体の活性化の結果、下流で共通して起こる2次反応を抑制するものであるため、血栓症のリスクを有する患者に対して予防的に適用できる。だが、選択性がないため出血のリスクを伴うという問題点がある。そのため、各受容体に対して選択的な抗血小板薬の開発が望まれている。

研究グループは、がん関連血栓症、がん転移、動脈硬化関連血栓症への適用を目指し、血小板受容体CLEC-2に対する阻害化合物の開発を行った。独自のコンピュータープログラムによる化合物結合評価によって、約700万の既存の化合物から抗CLEC-2候補化合物を絞り込み、このうちの約100化合物を入手して実験的検証を実施した。

その結果、ディフェニル-テトラゾール-プロパミド骨格を有する12化合物がCLEC-2のポドプラニン結合部位、さらにGPVIのコラーゲン結合部位の両方に適応。実際にポドプラニンならびにコラーゲンそれぞれとの相互作用を阻害することにより、人ならびにマウスの血小板の凝集反応を抑制することを見いだした。

研究グループは「ディフェニル-テトラゾール-プロパミド基本骨格に改変を加え最適化を施すことによって、がん関連血栓症、がん転移ならびに動脈硬化関連血栓症に有効な治療薬の開発が加速されることが期待される」とコメントした。