産業技術総合研究所(産総研)と日本電信電話㈱(NTT)は共同で、量子電流標準実現に向けて複数の量子ドット素子で不確かさの小さな電流を発生させることに成功した。微小電流を世界最高制度で制御している。米学術雑誌「ナノ・レターズ」に20日から掲載されている。
研究グループは、2つの異なるシリコン量子ドットを精密に制御し、それぞれ1秒間に10 億個の電子を運んで微小電流を発生させた。それにより、素子の違いによらず大きさのそろった一定の電流を発生させた。
2つの電流値が電流全体の4×10⁻⁷以下の相対不確かさで一致していることを確認した。さらに、2つのシリコン量子ドットを並列に組み合わせることで、不確かさを同程度に保ったまま2倍された電流を発生させることにも成功。量子電流標準として必要な電流の範囲の拡張技術を確立した。
両者は「今回確立した相互比較と並列化による電流の逓倍の技術を用いて、より多くの素子での並列駆動を行う」と説明。「⾧年実現することが難しかった微小電流標準の確立を目指す」としている。