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「電子に働く特殊な力」 QSTが高解像度で可視化 放射光の波長可能性を活用した3次元的観察が可能に

量子科学技術研究開発機構(QST)の岩澤英明上席研究員らは21日、広島大学との共同研究で量子マテリアルの機能発現のカギとなる「電子にはたらく特殊な力」をマイクロメートルの精度で可視化できる顕微解析技術の開発に成功したとしている。これにより、放射光の波長可変性を活用した量子多体効果の3次元的観察などが可能となる。

量子多体効果を制御した次世代デバイスの開発を推進するためには、微小領域における量子多体効果の強さを詳しく調べる必要がある。

だが、指向性が低い低輝度な光を利用するこれまでの技術では、微小領域に十分な強度の光を集めて照射することができず解像度を高めようとしても観察信号が不足するため、ミリメートル単位の観察しかできなかった。

今回の研究により、指向性が高く、高輝度なレーザー光と集光効率が高いレンズを利用することで、解像度を向上させながらも観察信号を大幅に増強させることを成し遂げた。さらに、開発した顕微解析技術を用いることで、高温超電導体の量子多体効果の強さをマイクロメートルの解像度で可視化して調べることに成功している。

研究グループは「成果により量子マテリアルの機能性と量子多体効果との相関関係が評価できるようになり、量子マテリアルの機能性の解明に向けた研究開発への貢献が期待できる」としている。