慶應義塾大学の長瀬健一准教授を中心とする研究グループは、へその緒(さい帯)に含まれる幹細胞から作製したシート状の細胞組織(細胞シート)の治療効果を明らかにした。この発見により今後、効率的な幹細胞治療が期待できそうだ。
研究ではへその緒から採取した間葉系幹細胞の治療効果を解明。人のさい帯から採取した間葉系幹細胞を用いて間葉系幹細胞シートと間葉系幹細胞懸濁液を作製してマウスの皮下組織に移植して生着率と生理活性たんぱく質「サイトカイン」の量を測定した。
その結果、間葉系幹細胞懸濁液は移植後に消失してしまうのに対し、間葉系幹細胞シートは長期間に渡り生着していることが分かった。また、肝細胞増殖因子(HGF)や形質転換増殖因子ベータ 1(TGF-β1)などの治療に有効なサイトカインを大量に分泌していると判明している。
研究グループは「研究により、さい帯由来の間葉系幹細胞シートが高い生着率と多量のサイトカイン分泌を示すことが分かった。これにより、さい帯由来間葉系幹細胞シートの移植により効果的な幹細胞治療が期待できる」としている。