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新型コロナウイルス排出と粘膜抗体の関係 名大研究Gが解明

名古屋大学の岩見真吾教授らの研究グループは、国立感染症研究所などとの共同研究でオミクロン感染者の臨床検体を数理科学的に分析。免疫の最前線で機能する「分泌型Ig-A(S-IgA)抗体」の誘導が早い症例ほど感染性ウイルス排出期間が短くなる傾向を明らかにしたと19日に発表した。国際学術雑誌に掲載されている。

疫学調査で得られたデータと試料を倫理審査委員会の承認を得て2次利用し計122人のデータを分析。S-IgA抗体は鼻粘膜検体において他の抗体(IgG抗体やIgA抗体)よりもウイルス量や感染力を強く抑制する傾向も見られた。

新型コロナウイルスへの感染歴やワクチン接種歴がある感染者ほどS-IgA抗体の誘導時間が短くなることも明らかになっている。この研究は、呼吸器ウイルス感染症において分泌型粘膜抗体が感染性ウイルス排出を抑制する可能性を人で示した世界で初めての報告となる。

研究グループは「研究成果により、粘膜免疫を標的とした次世代のワクチン開発が加速され、将来、呼吸器系ウイルスによるヒト間伝播を予防し、パンデミックを制御するための新たな戦略を与えることが期待される」とコメントしている。