京都大学の諫田淳也講師らの国際研究グループは、日欧におけるリンパ腫に対するさい帯血移植の予後予測因子を明らかにした。
さい帯血移植は、生着不全や早期の移植関連合併症の頻度が他の移植ソースと比較して高いことから移植件数が減少している。さい帯血移植の成績を改善するためには、国際共同研究が重要だと考えられている。
この問題に取り組むため、京大と欧州さい帯血研究施設「ユーロコード」などで国際共同研究を実施。研究基盤を確立した。その基盤に基づき、研究において日欧のリンパ腫に対するさい帯血移植の特徴と予後予測因子を解析して今後の治療戦略に生かすことを目的とした。
研究グループは2000~17年に初めてさい帯血移植を受けた18~75歳のリンパ腫の患者を対象として調査を実施。すると、患者、疾患、移植の特徴が異なるにもかかわらず、リンパ腫に対してさい帯血移植を受けた患者の疾患リスク指数が高い人は、日欧ともに生存率が低いと分かった。
研究グループは「リンパ腫における日欧のさい帯血移植における特徴が明らかとなり、HLA(ヒト白血球型抗原)の意義が日欧で異なる可能性を示した」と説明。「本研究では成人リンパ腫を対象に解析したが、小児さい帯血移植における影響は明らかとなっておらず、今後も研究を進めていきたい」と力を込めた。