理化学研究所(理研)の高橋栄治チームリーダーらの研究チームは19日、シングルサイクルレーザーをテラワット(TW)級の最大出力にまで高強度化できる、新しいレーザー増幅法の開発に成功した。実証では6TW世界最高のピーク出力を実現している。科学雑誌「ネイチャーフォトニクス」に掲載されている。
シングルサイクルレーザーは極めて時間幅が短い光で、パルス幅の中に光電場振動が 1 回しか含まれない特殊な光だ。その極短パルス性のため、パルスエネルギーを高出力化できるレーザー増幅技術はこれまで存在しなかった。
今回、研究チームは新しいレーザー増幅法を考案。複数のレーザー増幅媒質を組み合わせたユニークな構成で、1オクターブを大きく超える利得帯域を持ち、かつその光パルスをTW超える出力にまで増幅することを可能にしている。
本手法を用いて、波長1.4~3.0マイクロメートルの波長帯域を持つ中,赤外光シングルサイクルレーザーの増幅を行って6TWという世界最高のピーク出力を実現した。
研究グループは「開発されたシングルサイクルレーザー光源が、アト秒レーザーの高出力化研究を大きく前進させることは間違いない」とコメントしている。