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「電位依存症Na+チャネル」の意外な構造と分子間相互作用 金沢大助教らが発見

金沢大学など4機関からなる角野歩助教らの研究グループは19日、電位依存性Na+チャネル(Nav)のこれまで不明だった「室温で動いている構造」を高速原子間力顕微鏡(高速 AFM)によって解明したと発表した。予期せぬチャネル分子間の相互作用の存在を発見した。

電位依存性Na+チャネル(Nav)は生体の活動に必要な電位(活動電位)を発生するため、生体にとって不可欠な膜タンパク質。細胞膜内で機能している際のNavの構造やNav同士の相互作用には不明点が多く残されている。

研究グループは室温でのタンパク質の動態観察が可能な高速AFMを用いることで、Navが閉じるとNavの電位センサーはNavから離れて二量体を形成することを解明。

さらに、理論計算によりこの二量体化は現実の神経においても起きうることを明らかにし、二量体化がこれまで不明であったNavの急峻な活動電位発生の分子実態である可能性を示している。

研究グループは「これらの知見は将来、活動電位の波形の異常を修正する薬剤の1つの開発指針となる」と評価している。