奈良女子大学の高浪景子准教授らの研究グループは、脳幹にある目のかゆみを伝達する神経機構についての詳細を明らかにした。新たなかゆみの治療法の開発につながりそうだ。
大気汚染や花粉の影響で、花粉症などのアレルギー性結膜炎が年々増加している。アレルギー性結膜炎では強い目のかゆみを伴うが、これまで体に比べて顔のかゆみが伝えられるしくみは不明であった。
研究グループは、体の知覚を伝達する脊髄知覚神経系においてかゆみ特異的分子として報告されたガストリン放出ペプチド(GRP)とGRP受容体に着目。三叉神経知覚系のGRPとGRP受容体の発現部位は、実験動物モデルでよく用いられているマウスのみでなく真獣類や霊長類などのモデル動物を用いた解析から、哺乳類に共通していることを報告していた。
今回、マウスを用いた研究を実施。その結果から霊長類においても目のかゆみ伝達に脳幹のGRP/GRP受容体が関与する可能性が考えられるとしている。
研究グループは「目から脳へかゆみを伝える分子メカニズムの特定は、花粉症などの目の難治性掻痒(そうよう)症に対する新たな治療法の開発に貢献できる可能性がある」と報告している。