東北大学の祖山均教授ら5カ国の国際共同研究チームは、空間と時間分解能に優れたX線高速度観察を使って、気体が液体に戻る際に大きな力を発生させる「渦キャビテーション」の構造を可視化観察することに世界で初めて成功した。
金属材料に高強度化キャビテーションを活用するための渦キャビテーションはサブミリオーダの大きさで、かつミリ秒オーダで変動するためにその詳細構造の観察は容易でなくこれまで明確にすることができなかった。
広い視野を確保できるSPring-8のBL28B2と、世界最速886ナノ秒の最高速度 European XFELのSPB-SFXで実施。両方のメリットを生かして渦キャビテーションの構造と挙動を解明している。
その結果、これまで多数の直径数十マイクロメートルの球状気泡で構成されていると考えられていた渦キャビテーションが、実際は数百マイクロ~1ミリ程度の大きな角張った形状の気泡で構成されていることを世界で初めて発見した。
また、重要なパラメータである渦が回転しているときの接線速度を渦キャビテーション界面の移動速度から求めることに成功した。
研究チームは「気泡の圧潰衝撃力は、気泡形状や大きさに強く依存しているので、本研究成果を基に新たに数値シミュレーション法を開発するなど、学術的な波及効果を期待できる」と説明している。