宮崎大学と大阪大学からなる研究グループは、すいβ細胞機能を制御する新規ペプチド 「NERP-4」を発見。その結合たんぱく質としてアミノ酸トランスポーター・SNAT2を同定した。アミノ酸トランスポーターを活性化する内因性分子の確認は、世界で2番目となる。糖尿病の病態マーカーや治療薬の開発に発展することが期待される。
NERP-4はすいβ細胞のミトコンドリア内アデノシン三リン酸(ATP)産生から細胞内のカルシウム(Ca2+)上昇を介して、インスリン分泌を亢進した。NERP-4はインスリンと同じ分泌顆粒中に存在し、グルコース刺激で分泌されてオートクリンとして作用している。
NERP-4が結合する膜たんぱく質を探索して、アミノ酸トランスポーター・SNAT2を確認。NERP-4は、SNAT2のポジティブアロステリックモジュレーターとして、グルタミンやアラニンの取り込みを増やしていた。
肥満糖尿病モデルマウスのすい島では、NERP-4の発現量が低下していた。マウスにNERP-4を2週間投与すると、インスリンの産生分泌が増加し耐糖能が改善した。パルミチン酸刺激したすいβ細胞由 MIN6-K8細胞にNERP-4を投与すると、酸化・小胞体ストレスが軽減し、ミトコンドリアダイナミクスが亢進して、すいβ細胞機能が改善した。
NERP-4 がアミノ酸取込みを増やして、ミトコンドリアのATP産生を増やすとともに、グルタミン代謝物のグルタチオン産生が増加し抗酸化作用を示すことを明らかになっている。
研究グループは「今後、SNAT2とNERP-4の結合部位を特定し、NERP-4結合
がSNAT2の立体構造に与える影響を解析して、アミノ酸トランスポーターの活性を制御する新規の分子機構を明らかにすることを目指す」としている。