文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
NIMS×ソフトバンク、電圧ヒステリシス要因を明らかに 充放電エネルギー効率低下の起源を解明

物質・材料研究機構(NIMS)は、ソフトバンク㈱と共同で高エネルギー密度蓄電池用電極材料(Li₂RuO₃)で、放電電圧が充電よりも低くなる(電圧ヒステリシス)原因が、充放電時における結晶構造変化の経路がそれぞれ異なるためであると明らかにした。従来の定説とは異なった機構の存在を突き止めたこととなる。

リチウムイオン過剰系電極材料は従来型正極材料の2倍に相当する300mAh/g 以上の高い容量を発現する。そのため、リチウムイオン電池を高エネルギー密度化できる有望な正極材料候補として研究されているが、充放電時の電圧ヒステリシスが大きく充放電時のエネルギー効率が低いという課題がある。

研究チームは、リチウム過剰系電極材料のモデル材料としてLi₂RuO₃を用いて、その充電前後の結晶構造を精査。放電後の結晶構造が充電前の構造に戻っているにもかかわらず、電圧ヒステリシスが観測されることを見いだした。

これまでリチウム過剰系電極材料における電圧ヒステリシスの起源は、充放電で結晶構造が不可逆に変化することに起因するとした学説が提唱されていた。今回の結果はその学説で説明できない。

そこで研究チームは、各種先端分析技術を駆使して、充放電時の電極の構造変化を詳細に解析したところ、結晶構造が変化する経路が充電時と放電時で異なることを明らかにした。すなわち、リチウム過剰系電極材料における電圧ヒステリシスの起源が結晶構造の不可逆変

化ではなく、結晶構造が変化する経路に起因することが判明した。

研究グループは「今回得られた知見を利用し、充放電における電圧ヒステリシスの有無に着目するだけではなく、結晶構造の変化に着目した材料評価を行うことで、高容量と高い充放電エネルギー効率を両立するリチウム過剰系電極材料の開発加速が期待される」としている。