理化学研究所(理研)の中川英刀チームリーダーらの研究グループは、女性で非喫煙者の食道がん(SCC)の全ゲノム及び単細胞RNA解析を行った。結果、免疫細胞の一種「好酸球」がSCCの発症と関連していることを突き止めた。この成果により新たな免疫療法の開発が期待されている。
研究グループは増加傾向にある女性非喫煙者の食道扁平上皮がんを対象とし、20 例のがん組織の全ゲノムRNAシークエンス解析を行った。そして、その変異を一般的な男性喫煙者の食道がんのデータ74例と比較した。
その結果、原因変異遺伝子については差異がないものの、加齢と関連する変異が多い傾向にあると判明している。腫瘍内の免疫細胞の活動性を調べると、女性食道がん組織内には、活動性の高い免疫細胞が観察され、特に病原体を捕食する「好酸球」が多く検出された。
その後、男女計4例の食道がん組織から免疫細胞を抽出して約3万1000個の解析を行うと女性食道がんにおいては好酸球が活性化していた。
研究グループは「腫瘍内で好酸球という特定の免疫細胞の活性化が確認されたため、好酸球を標的とした新たな免疫療法の開発につながる」としている。