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東工大「ナガニシア酵母」にがん抑制因子を発見 薬剤探索研究効率化に期待

東京⼯業⼤学の岩崎博史教授らのグループは、ヒトがん抑制因⼦BRCA2と相同性を持つ因⼦(ホモログ)が菌類にも広く存在し、単細胞真核⽣物である「ナガニシア酵⺟」をモデルに菌類のBRCA2ホモログが分子の乗り換えに中⼼的役割を果たすことを⽰した。ナガニシア酵母を用いた薬剤探索研究の効率化が期待されている。

BRCA2遺伝⼦に変異を持つと、乳がんや卵巣がんの発症リスクが劇的に⾼まることが知られる。BRCA2は人を始めとする⾼等真核⽣物で⾒つかっていた。だが、真核⽣物の分⼦⽣物学を牽引してきた出芽酵⺟「サッカロミセス・セレビシエ」などのモデル酵⺟が BRCA2を持たないことから、酵⺟を⽤いたBRCA2の機能的理解が遅れていた。

今回、東工大のグループはナガニシア酵⺟でBRCA2ホモログを発見。単細胞菌類をモデルにしたBRCA2の機能解析が可能となった。

「ナガニシア酵⺟の持つBRCA2ホモログはヒトのものより⼩さくタンパク質精製が容易であるため、これまでに確⽴した試験管内再構成系を利⽤することで BRCA2 の機能の本質を⽣化学的に明らかにすることが期待できる」とコメントしている。