神奈川大学の辻勇人教授らの研究グループは、大阪大学などとの共同研究により水とテトラヒドロフラン(THF)の混合溶媒中に独自開発の疎水性発光分子が分散した体系についてさまざまな測定を行った。
水とTHFの混合溶媒中で疎水性有機分子が集合体を形成することが広く知られている。このような溶液の水とTHFの比率を変化させると、溶液の性質が変化することがしばしば観測されている。だが、集合状態がどのように変化して性質の変化に影響を与えるのかについての詳細は明確ではなかった。
水―THF混合溶媒中における疎水性の発光分子について、含水率を変化させてさまざまな測定を行った。その結果、溶媒中の水の体積分率が約50%では分子が「緩い集合体」を形成し、水の割合が増加するにしたがって「密な集合体」へ変化することを明らかにした。また、このような集合状態変化と発光強度変化との対応も分かっている。
研究グループは「得られた知見は有機EL有機レーザーなどの照明デバイスの効率向上や薬物輸送システムの効率化による薬効の改善など広汎な応用が期待できる」としている。