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クラゲの触手はなぜ素早く再生するのか? 東大研究Gが仕組みを解明

東京大学の冨士田壮佑特任研究員らによる研究グループは22日、東北大学と共同で刺胞動物「エダアシクラゲ」を用いて触手再生過程に出現する未分化細胞が切断部に再生芽を形成して迅速な器官再生を実現する仕組みを明らかにした。

先行研究では、ポリプの再生においては全身に散在する多能性幹細胞が傷口付近に移動して集積することで新たに再生芽を形成することが示唆されてきた。一方で、刺胞動物の中で明確な器官や比較的複雑な形態を示すクラゲにおける再生芽形成メカニズムは不明であった。

研究グループは、エダアシクラゲの触手が切断後48~72時間以内に素早く再生することから、刺胞動物クラゲにおける器官再生のモデルとして使用した。

研究により触手の切断部位付近に未分化細胞が集積して再生芽を形成することを見いだした。また、再生芽を形成する未分化細胞は増殖能や分化能を含む幹細胞としての特徴を示すものの、常在する幹細胞とは異なる由来と機能を示し、特に新しく形成される触手の上皮細胞に選択的に分化することを発見した。

研究グループは「今後、クラゲの再生芽形成を誘導する分子メカニズムや再生特異的な細胞の由来を明らかにすることで、器官再生における再生芽形成メカニズムの多様性や進化についての理解が深まることが期待される」としている。

エダアシクラゲ触手再生における常在幹細胞と再生特異的な未分化細胞の概念