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女性の大動脈解離は過小評価されている? 熊本大が発生率の男女差初解明、「男女差なし」を初提示

熊本大学の丸目恭平客員助教らの研究チームは、急性大動脈解離(AAD)の発症率に男女差はないが女性の病院前死亡率が男性よりも高いことを明らかにした。これは女性のAADが男性よりも病院に到着する前の死亡率が高く、発生率自体には男女差がないことを示した初めての研究だという。

AADの発症率は男性が女性よりも高いとされてきたが、発症後に病院到着前で死亡する症例が多いため、いかにこのパターンを含めた正確な疫学的評価を行うかが大きな課題であった。

宮﨑県にある延岡市は都市部からは離れており、県立延岡病院を中心に市内で医療が完結できるという特徴がある。そこで、同市で発生した院外心停止症例の90%を死後CT(コンピュータ断層撮影)にて評価。病院到着前に死亡したAAD患者を特定した。

それによると、計266人のAAD患者が発見され、そのうち84人が院外心停止を経験していた。137人が女性で164人が致死率の高い「タイプA AAD」と判明。性別によるAADの発生率は同等だが、女性は男性より病院到着前の死亡率が高値となった。男性と比較して、女性の方が高齢でタイプA AADの割合が高いという特徴もあった。

研究チームは「本研究では、若年でも女性の院外心停止症例ではAADの割合が高かったことから、女性の院外心停止症例の治療戦略を立てる際にはAADを強く考慮することが重要である」と説明している。

男女の急性大動脈解離の発生率と病院到着前死亡率