上智大学のファーラージェームス教授は、西荻窪駅周辺の個人経営飲食店を対象としたフィールドワークを行った。結果、「個人経営飲食店がオーナー、従業員、顧客にとっての経済資源であること」や「社会的組織やネットワークづくりの資源として機能している」「商店会などの組織に加え、草の根的な社会運動における政治動員の基盤である」と明らかにした。
実際のコミュニティではこれら3つの要素が抽象化された概念として存在するのではなく、社会的、経済的、環境的な利害を異にする多様な人がいる。そのため、小規模なネットワークにおける対話の過程が社会の持続可能性の実現を左右する鍵を握る。研究では、都心近郊のJR西荻窪駅の飲食店に関わるさまざまなアクターを対象として調査を行った。
その結果、個人経営店は食事をしたり、生計を立てたりする場所であるだけでなく、地域の社会的生活を下支えする重要な役割を果たしていることが示された。一方で、コミュニティ活動を支えており地域の社会インフラとして機能していると示唆された。
ファーラー教授は「こうした飲食店は、特定の食品や料理を通じてではなく、コミュニティと密接に結びついた飲食や社交のスタイルを通じて、社会の持続可能性に寄与していると言える」と説明している。