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0.5テスラの磁場で「磁気転移温度を600%上昇」 東大助教が巨大な磁場応答を世界初観測

東京大学の諏訪秀麿助教は14日、テネシー大学などとの共同研究でスピン相互作用のわずか0.1%のエネルギーに相当する0.5テスラの磁場で磁気転移温度を600%も上昇させる巨大な磁場応答を世界で初めて観測した。

先行研究では、スピン軌道結合から生じる反強磁性スピンのわずかな傾きを利用した磁場操作が行われていた。だが、スピンを傾かせるためにスピンの異方性が生じてしまい、その結果磁場応答が小さくなってしまうことが問題となっていた。

2次元系の反強磁性スピンで傾いた磁気秩序を取りつつもスピン等方的な物理系が実現できれば、巨大な磁場応答を得ることが可能となる。研究チームはそのような不可能とも思える物理系の実現に着想を得て、世界で初めてサイト希釈を用いたスピン異方性の制御と巨大磁場応答を理論の両面から実証した。

諏訪助教は「今回明らかにした希釈による異方性の消失はさまざまな物質に応用でき、将来的な反強磁性スピントロニクスにおける効率的スピン操作につながると期待される」とコメントしている。