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難治がんに対する新規治療 宮城県立がんセンター研究Gが動物実験に成功

宮城県立がんセンター研究所の田沼延公部長らの研究グループは、神経内分泌がん(NEC)細胞における細胞の種々活動に重要な代謝物(NAD)の調達戦略を調べた。がん細胞はその生存や増殖のために大量のNADを消費していることが知られている。NECがNAD合成を担う酵素「NAMPT」の働きを抑えることに対して極めて弱いことを発見した。

小細胞肺がん細胞の生存に糖代謝酵素「PKM1」が不可欠なことから、その理由を調べた。結果、PKM1が血中で最も多いナイアシンであるニコチンアミドからNADを合成する反応を促進していることを発見した。

その反応で重要な役割をもっていたのがNAMPT。その後の実験や分析により、小細胞肺がんがNAMPTの機能抑制に極めて弱いことが分かった。また、その性質が、NECに共有されていることも明らかになっている。

行った動物実験で、NAMPT阻害薬を使ったNEC治療実験を行った。この時、食事に含まれるNAD前駆体の量がどのように影響するかを調査した。すると、ナイアシン摂取制限によってNECに対するNAMPT阻害治療の効果を高められることが分かっている。

今後について研究グループは「NADの前駆物質を抗老化サプリメントとして積極摂取する試みがありますが、NAMPT阻害薬を使ったがん治療との組合せは注意が要るかもしれない」と説明している。