信州大学の野見山哲生教授らの研究チームは、エコチル調査の約1万8000組のデータを対象として、母親の妊娠中の血中有機フッ素化合物(PFAS)濃度と生まれた子どもの 4歳時におけるぜん鳴(喘鳴)及びぜんそく症状の有無との関連について解析した。関連性は確認されなかったが、長期的影響についての研究の必要性が示されている。
PFASは免疫系への影響を生じさせることが知られているがPFASのばく露とぜんそく症状の有無との関連は分かっていない。この研究では、母親の妊娠前期の血中PFAS濃度と生まれた子どもの4歳時におけるぜん鳴とぜんそく症状の有無との関連を疫学的な手法を用いて調べた。
研究では調査に参加する約10万組の母子のうち、母親の妊娠中の血中PFAS濃度が測定されている約2万5000組のデータを使用。その中から、今回の解析に必要なデータがそろった1万7856組のデータを利用している。
その結果、母親の妊娠中の血中PFAS濃度と子どものぜん鳴及びぜんそく症状の有無との間に明確な関連は見られなかった。子どもの性別および母親のぜんそくの有無による差も確認されていない。
研究グループは「研究では、母親の妊娠中の血中PFAS濃度と子どものぜん鳴やぜんそく症状の有無との間に明確な関連は見られなかった」と説明。一方で「⾧期的な影響については今後の研究が必要」と評価している。