慶應義塾大学の竹馬俊介准教授らの研究グループは、自己免疫性皮膚炎モデルマウスを用いて自己免疫疾患の治療抵抗性や再発に関わる病原性T細胞の性質や体内動態を解析した。T細胞が免疫抑制剤に抵抗してしつこく生存する機構の一端を明らかにしたという。
研究では、免疫抑制剤「アバタセプト」による皮膚炎治療を行った後で、マウスのリンパ組織を解析した。その結果、IL-17産生型ヘルパーT細胞(Th17)細胞には2つの性質を有する細胞があることを見いだした。
また、免疫抑制剤に抵抗性のある細胞は、アルコール依存症治療に用いられるシアナミド(ALDH阻害薬)で潜伏するメモリー様Th17細胞の生存を阻害できると明らかにしている。
研究グループは、ALDH阻害薬は健常な組織にも毒性を持つため、直ちに免疫治療薬として臨床応用することは難しいと考察。「免疫抑制剤治療に抵抗性のメモリー様T細胞をさらに深く調べる事で、この細胞の弱点を見つけ制御する事ができれば自己免疫疾患の根治につなげることができる」としている。