東京大学の安藤俊太郎准教授らの研究グループは14日、思春期児童の精神症状の変化のパターンが特徴的な5つのグループに分かれることを発見して英国医学雑誌で発表した。そのうち1つは周囲に助けを求められない傾向を持ち、本人の苦痛が養育者から見逃され、自傷や希死念慮のリスクが高い一群であることを見いだした。
研究では10~16歳までの2344の一般児童を対象にアンケート調査を行い、AIを用いて児童の精神症状と行動の問題の軌跡をグループ分けすることを試みた。
その結果、問題が最小限の「非影響群」、持続的または悪化する抑うつや不安などの問題を示す「内在化群」、児童の主観的な問題が養育者に見過ごされた「乖離群」、持続的な行動の問題などを示す「外在化群」、さまざまな症状の領域で慢性的な重度の問題を呈する「重度群」5グループに分けられた。
「非影響群」が最も多く全体の60.5%。次に「内在化群」16.2%「乖離群」9.9%と続いた。自傷行為と希死念慮のリスクが最も高い「乖離群」は、自身が追い詰められても周囲に助けを求めようとしない傾向があった。
研究グループは「今回の知見は、思春期児童の主観的な体験に耳を傾ける重要性と周囲に助けを求められない苦痛を抱える児童の存在に光を当てることで、社会として思春期児童を支援する枠組みを構築するための土台となる」としている。