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ヒドロ虫が触手を配置する原理と放射相称性の多型 理研研究員らが発見

理化学研究所(理研)のサフィエ・エスラ・サルペル学振特別研究員PDや広島大学などの共同研究グループは、放射相称動物「ヒドロ虫」が体の周りに触手を配置する原理と個体間に見られる放射相称性の形態を発見した。

多くの生物は体に繰り返し構造を持つ。人を含む左右相称動物では、脊椎など繰り返しの構造を持つ器官の配置は2次元上での解釈および解析が可能だ。だが、体軸を中心に3次元的に器官が展開する放射相称動物の器官配置についての知見は限られていた。

研究グループは、葉器官が3次元的に展開する植物体の解析手法をヒドロ虫の触手配置の分析に応用。放射相称動物の器官が立体的に繰り返し配置される基本原理を発見した。複数個体の触手の配置を定量的に解析した結果、個体のサイズに依存して異なるタイプの放射相称性が現れることが分かった。

また、数理モデルを用いたシミュレーションから、サイズに依存して放射相称のタイプが選択される仕組みの存在が示唆されている。

研究グループは「研究で確立した定量的な解析方法および触手配置の数理モデルは他の放射相称動物にも適用可能であり、放射相称性の多様性や進化的移行と個体サイズの関係についての新たな知見が得られると期待できる」としている。