自身の睡眠の質は良いのか、悪いのか。漠然とした疑問に答えることは簡単ではない。そんな問いに答えるため、筑波大学などからなる研究チームは100人を対象に健康診断を実施。客観的に睡眠の質が悪い人は収縮期血圧が高い傾向があることなどが明らかになった。
研究では、都内の健診施設(KRD⽇本橋)にて30-59歳の成⼈100⼈を募集。睡眠時脳波測定と詳細な健康診断を実施した。脳波測定は5晩行い、10種類の指標を取得した。
この情報をもとに、人工知能能(AI)の教師なし学習をしたところ100人は「睡眠良好群」「中間群」「睡眠不良群」に分けられた。健康診断の結果を集団ごとに比較すると、血圧の上下と肝機能、腎機能に違いが確認された。特に睡眠の質が悪いほど血圧が高い傾向が見られている。
ほかにも、「客観的な睡眠の質と主観的な睡眠の質の間の相関が弱いこと」、「客観的な睡眠の質のみが収縮期⾎圧と関連していること」、「10の定量的睡眠指標と50の健康診断の検査項⽬の間に特に相関の強い組み合わせが存在すること」などが明らかになっている。
研究グループは「睡眠時脳波と健康の関連を⻑期的に調査するコホート研究や客観的な睡眠の質が悪い⼈に対する介⼊研究などの実施により、客観的な睡眠の質の悪化を端緒に適切な健康対策を取り、重⼤疾患の予防や健康寿命の延伸につなげる仕組みが実現できる」としている。