岡山大学の徳重慶裕大学院生と阿部匠講師の研究チームは、40年間全合成が未達成であった天然物「(±)-rivularin A」の全合成を初めて達成した。その構造が提唱された構造と相違ないことを明らかにしている。
インドールの3位炭素原子と1位窒素原子が結合したインドール2量体(C3-N1‘ビスインドール)の合成法はこれまでいくつか報告されていたが、基質適用範囲に限りがあった。
そのため、rivularin Aを含む C3-N1‘ビスインドール構造を持つ天然物の全合成は達成できていなかった。
これまでの研究から研究チームは、HITABをインドリンと反応させればこれまで合成の難しかったC3N1‘ビスインドールも合成できるのではないかと考えた。結果、HITABの3位とインドリンの1位が選択的に反応した。さらに脱水、酸化、1 位置換基の除去を行うことで C3-N1’ビスインドールを合成することに成功したという。
徳重大学院生は「ときには苦しい時期もあったが、最後には自前の根性と執念で全合成を達成できたことを嬉しく思う」と述べている。