名古屋大学の飯島弘貴客員研究者らの研究グループは、ハーバード大学との国際共同研究により、筋力トレーニングによる骨格筋老化抑制効果の分子メカニズムを明らかにした。健康増進効果を再現する運動模倣薬の開発が期待されている。この成果は国際学術誌で15日に掲載された。
健康長寿の阻害因子となる骨格筋の脂肪蓄積に筋力トレーニングがどう影響するのかについてはよく分かっていなかった。こうした課題解決のため、研究グループは独自のネットワーク医学解析を骨格筋の網羅的遺伝子発現データに適用することで、分子メカニズムを探求した。
まず、骨格筋の脂肪形成を担うとされる間葉系前駆細胞に着目。これらの細胞集団を脂肪細胞に分化させる遺伝子群を定義した。次に、高齢者における筋力トレーニングがこの遺伝子群の働き方に与える影響についてネットワーク医学解析を用いて評価した。
一連の解析の結果、筋力トレーニングによる骨格筋の脂肪減少効果に係る有力なシグナル経路を特定。研究グループは「骨格筋の老化メカニズム解明が進むだけでなく、筋力トレーニングの健康増進効果を再現する運動模倣薬の開発が期待される」とコメントしている。