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マウスが進化の過程で遺伝子治療薬として働くRNAを獲得 北大研究などの研究Gが解明

北海道大学の中川真一教授と摂南大学の芳本玲講師らのグループは、40年以上機能が不明だったマウスのRNA(4.5SH RNA)の新たな役割を発見した。米国の学術雑誌「モレキュラーセル」に掲載されている。

マウスのゲノムDNAには正常なmRNAを作る上で不具合となり得る配列が多数存在している。それらがmRNAに取り込まれると致死性の遺伝病の原因となるが、4.5SH RNAには病を無毒化する解毒剤のような働きがあった。

つまり、マウスは進化の過程で天然の遺伝子治療薬を獲得していたことになる。更に、4.5SH RNAは2つのモジュールから構成されていることも分かった。1つは異常な配列を見つけるためのセンサーの役割を、もう1つは異常な配列がmRNAに取り込まれないようにするためのツールを連れてくる役割を果たしている。

研究グループは「この発見は、このセンサー部分を変更することにより、特定の遺伝子変異のみを認識する新しい遺伝子治療薬を開発できる可能性を示唆している」とし「これが実現すれば、遺伝病を引き起こす変異を長期的に無毒化する新しい遺伝子治療の道が開かれるかもしれない」と説明している。