東北大学の天野香菜客員研究者らの研究グループは7日、小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから回収した試料を地球大気と反応させないように工夫して反射スペクトルを測定した。
なぜリュウグウは他の隕石よりも圧倒的に黒いのか―。研究グループはその疑問を解決しようと試みた。
研究チームはリュウグウ試料と比較するために、最も始原的な隕石「CIタイプ隕石」を真空下かつ還元的な雰囲気においてさまざまな温度条件で実験的に加熱した。その後の試料もリュウグウと同様に大気にさらすことなく反射スペクトル測定を実施。得られた反射スペクトルを比較した結果、摂氏300度で加熱した試料が最もリュウグウの特徴を再現することが分かった。
300度で加熱された隕石の構成鉱物の特徴は、リュウグウの構成鉱物の特徴とよく一致していた。
先行研究の結果を踏まえると、リュウグウが過去に宇宙で300度程度の加熱を受けたのではなく、CIタイプ隕石が地球環境にさらされたことで含水鉱物中の鉄の酸化などが起こったと考察。今回の加熱によって地球での変質の影響が多少取り除かれたと考えられるとしている。