東京大学の田代省平准教授らは、環状分子のねじれの度合いが異なる2類の異性体を選択的に合成。弱くねじれた異性体と強くねじれた異性体のらせん反転速度を制御することに成功したと6日に発表した。分子機械をはじめとする機能性金属錯体の開発に貢献されそうだ。
研究では環状配位子とパラジウム塩から、ねじれの度合いが異なる2種類の環状パラジウム三核錯体を異なる条件下で選択的に合成した。結晶および溶液中の分析により、弱くねじれた異性体はすぐにらせん反転が起こるのに対し、強くねじれた異性体はらせん反転が観察されないことが明らかとなった。
この顕著な速度の違いは、環構造のねじれの度合いの違いによる反転機構の違いによるものだという。
研究チームは「従来の単純な分子の並進運動や回転運動の制御に比べ、分子全体のねじれの反転をより高度に制御することが可能になり、より精巧な分子機械の構築につながることが期待される」と説明している。