理化学研究所(理研)の上坂友洋部長や香港大学などの国際共同研究グループは、重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」の多種粒子測定装置「SAMURAIスペクトロメータ」を用いて不安定なベリリウム−10(¹⁰Be)原子核の基底状態では、アルファ粒子と中性子2つずつが窒素分子のように結合していると発見した。
国際共同研究グループは、RIBFで生成された10Be原子核ビームに対し、ノックアウト反応という手法を用いてアルファ粒子を取り出すと同時に、取り出した後に残る原子核をSAMURAIスペクトロメータによって同定した。
この結果を最先端の核構造理論および核反応理論と比較することで、10Be原子核が2つのアルファ粒子と分子軌道を占有する中性子から成る分子構造を持つことを明らかにした。
研究グループは「今後、より中性子過剰なベリリウム同位体や炭素、酸素同位体と研究を進めることにより、宇宙における元素の起源がより明らかになると期待される」としている。