名古屋大学の石原一彰教授らの研究グループは、独自に開発した「π-銅(Ⅱ)錯体」を不斉触媒注に用いて3-ブチン酸アミドから単離困難なアレン酸アミドを生成することなく発生させ、続くα、β-位置選択的及びエナンチオ選択的に付加反応を制御することに成功した。
このπ-銅(Ⅱ)錯体は以前に開発した「モノペプチド」を配位子とする最小の人工金属酵素。この触媒を今回の反応に適用することで、3-ブチン酸アミドからMichael付加体、[2+2]環化付加体、[3+2]環化付加体、[4+2]環化付加体をそれぞれ高いα、β-位置選択性と高いエナンチオ選択性で得ることに成功した。
石原教授は「これらの成果は2002年にπ-銅(Ⅱ)錯体触媒の研究を始めて以降、今日にいたるまでの22年間の数々の発見の積み重ねの上に達成できた成果だ」と振り返った。