国立環境研究所など5機関からなる研究チームは6日、積乱雲やそれらが集まった巨大な雲を表現できるモデル(NICAN)を用いて次世代の水同位体モデル(NICAN―WISO)を開発した。これまでの⽔同位体モデルを遥かに超える10倍相当の⽔平解像度でシミュレートすることに成功している。
研究では、NICAN―WISOを⽤いて⽔平解像度を14キロメートルと設定した現在気候の再現シミュレーションを実施。この⽔平解像度の設定はこれまで実施された⽔同位体モデルの気候シミュレーションの中で、最も⾼いものとなっている。
NICAM―WISOは、⽔同位体⽐の地理的な分布だけでなく、⽔同位体⽐と気象要素(降⽔量や気温)との関係も上手く再現できた。また、⽔同位体の変動を詳細に解析することで、NICAMがもともと持つ誤差の⼀部の原因を識別した。
シミュレーションはスーパーコンピューター「富岳」で⾏った。模擬実験は富岳を利⽤することで初めて可能であり、その計算量は2560個の計算ノード(1万240プロセス)を3週間ほど使った量となっている。
研究グループは「衛星から観測された⽔蒸気の同位体⽐をシミュレーションに取り込み、それによってシミュレーションの精度を向上させることを⽬指す」と説明している。