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幻の素粒子「マヨラナ粒子」 阪大研究Gが量子テレポーテーション現象を解明 

大阪大学の水島健准教授らからなる研究チームが、特殊な磁性体中に存在する「マヨラナ粒子」の量子もつれを利用した量子テレポーテーション現象を理論的に解明した。トポロジカル量子コンピューター実現に向けた重要なステップだという。

マヨラナ粒子は1937年に理論提案された実験的には未発見の幻の素粒子。いまだ実存証明されていないが、特殊な磁性絶縁体中では強い量子もつれ状態として実現することが予言されている。しかし、それを実験で測定する方法は不明であった。

研究では、量子もつれ状態を作るマヨラナ粒子は外部磁場がある場合、磁性絶縁体上にある欠陥(点欠陥)に束縛される性質があることを利用。複数の点欠陥がある場合についてマヨラナ粒子が現れる模型を考察した。

その結果、点欠陥に強く束縛されたマヨラナ粒子の量子もつれを反映した量子テレポーテーションが、点欠陥に隣接した電子スピン間に現れることを解明し相対距離に依存しないことを定量的に評価できた。

また、電子スピンの量子テレポーテーションが走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いた電気伝導度測定によって検出可能であることを数値シミュレーションによって示している。

研究グループは「点欠陥に束縛されたマヨラナ粒子は環境ノイズに対して耐性を持つ量子ビットの構成要素になるため、トポロジカル量子コンピューターの実現に向けて重要なステップとなる」と説明した。

量子テレポーテーション現象の模式図。物質中の
マヨラナ粒子(黄色丸)は量子もつれ状態を形成
し、電子スピン(二つの太い矢印)の量子テレポ
ーテーション現象をもたらす