産業技術総合研究所(産総研)の関口勇地総括研究主幹らは㈱島津製作所と共同で、質量分析技術を利用し、これまで不可能であった多様な原核微生物種の迅速同定を可能にする技術を開発した。感染症原因微生物の特定などに貢献しそうだ。
この技術では、原核微生物のゲノム情報から推定した大規模理論タンパク質量データベース構築と質量分析結果の解析アルゴリズム開発により、未培養微生物を含む多様な原核微生物種の迅速同定を実現した。
マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS)による菌体構成物の質量分析に基づく迅速微生物同定法のための従来にない解析プラットフォームで、これまでの培養菌体を利用した実測質量データベースと比較して同定可能な微生物種が10倍以上増加した。
産総研らは「この開発技術をヒトマイクロバイオーム、とりわけ腸内マイクロバイオーム中の有用微生物群の網羅的な培養に活用し、人の健康などに有用な微生物群の取得と産業利用を目指す」としている。