新潟⼤学の茂呂寛准教授らの研究グループは5日、重症感染症における鉄代謝の動態を明らかにしたと発表した。感染症の診断と治療に新たな視点をもたらす可能性が期待されている。
研究において、⾎流感染症の経時的な鉄の⾎中濃度を確認したところ、急性期には低下し、病態の改善とともに回復する急激な変動パターンを⽰した。さらに、この鉄の⾎中濃度の挙動は炎症に伴う鉄調節因⼦「ヘプシジン」の作⽤によるものと考えられている。
こうした鉄代謝の動態は細菌側に必須の栄養である鉄獲得を妨げ、増殖を抑制する⽅向に働くことから、私たち宿主による免疫反応の⼀環と考えられる。
研究グループは「研究成果により、感染症と鉄との密接な関わりについてその経時的推移が改めて確認されるとともに、今後は感染症の診断と治療における標的として感染症の領域における鉄代謝への関⼼が⾼まる効果が期待される」としている。