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災害リスク下の意思決定を再現 筑波大准教授がモデルを開発 東日本大震災を再現

災害非難行動は、いつ、どのくらいのリスクが訪れるか分からない中で非難を開始しなければならない。筑波大学の浦田淳司准教授は、そうした災害リスク環境下の意思決定を検討できるモデルを開発。東日本大震災の津波非難行動の再現を行った。

行動では現在から将来までの行動選択によって得られる利得を評価して現在の行動を決める既存モデルの拡張を行った。災害時特有の将来状態の不確実性が高いことを考慮し、人によって将来にわたる利得が異なると仮定して、人々の認識の違いを評価するモデルを開発した。

このモデルは時間ごとに将来リスクに対する認識が変化することも可能。しかし、構築したモデル内には不確実性に関する変数があり、通常のパラメーター推定アルゴリズムではパラメーターを得られないという問題があった。そこで不確実性の幅を制約しながら、最適なパラメーターを探索するアルゴリズムを開発した。

開発したモデルについて、2011年の東日本大震災における岩手県陸前高田市の非難行動データを用いて実証分析を行った。

その結果、津波到達直前期においれ実際の避難割合と既存モデルによる予測非難確立と実際の非難行動との差は8%ほどあったものが、開発モデルでは2%ほどに抑えられた。また、地震発生後から津波が見える前ごろまでは楽観的なリスクを想定している人が多いことが明らかになり、このような想定が避難の遅れた原因の1つと示唆されている。

浦田准教授は「このようなモデルが洪水やハリケーンなどを含む他の災害にも適用され、同様の意思決定醸造があることが示されれば、非難行動の予測速度はさらに増すと考えられる」としている。