大阪大学の筒井真楠准教授らの国際共同研究グループは6日、膜たんぱく質や人工的に合成された極小の穴「ナノポア」内のイオンの流れを利用した温冷自在の熱デバイスを開発した。スマートフォンなどのモバイル端末に実装可能な温調シートモジュールになると期待されている。
今回の研究ではナノポアにおけるイオンの流れと熱の関係に注目。まず、半導体技術を用いてさまざまな形状のナノポアを作り、生理食塩水中でのイオンの流れを調べた。その結果、直径50ナノメートルの極めて小さなナノポアになると、陰イオンはナノポアを流れなくなり、陽イオンだけが流れる細孔になることを突き止めた。
研究グループは「この熱制御技術は、多孔質膜で実践すれば大面積を高効率に加熱/冷却する厚さ数十ナノメートルの薄膜デバイスになり、省スペースや軽量化が要求されるスマートフォン等のモバイル端末に実装可能な加熱/冷却用シートモジュールへの応用が期待される」とコメントしている。