滋賀県立大学など6機関は、希少植物「イブキノエンドウ」が日本の在来種であることを発見した。研究グループは織田信長の薬物園仮説の根拠は否定されたが、存在しなかったという意味にはならないと表現。今後の研究に興味を示している。
イブキノエンドウは世界で広く分布する植物だが、日本では生息地が伊吹山と北海道に限られる。このことから、イブキノエンドウはかつて宣教師が薬草とともに日本に持ち込み、この山に存在していたとされる「薬草園伝説」を裏付ける存在と信じられてきた。
研究グループは伊吹山及び北海道でイブキノエンドウを採取し、ドイツとロシア産の標本に由来するゲノムDNAを入手した。葉緑体遺伝子マーカーの配列と次世代シークエンサーを用いたゲノムワイド多型解析に基づいて、植物の移入経路を調べた。 その結果、日本のイブキノエンドウは海外の系統とは分離していることが分かった。そして、伊吹山の植物がヨーロッパから持ち込まれた説は否定された。北海道のイブキノエンドウは約1万年前にほかの干渉を受けずに移動した可能性が支持された。