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若いうちこそ「腹8分目」 食事制限の寿命延長効果は加齢で弱まる? 理研らのGが調査

若いうちこそ「腹8分目」-。理化学研究所(理研)などの小坂元陽奈基礎科学特別研究員らのグループは5日、食事制限による寿命延長効果が加齢によって弱まることを、ショウジョウバエを用いた研究で明らかにしたと発表している。科学雑誌「ネイチャーコミュニケーションズ」オンライン版で公表した。

現在、さまざまな食事制限による健康増進法が提唱されている。中でもメチオニンは寿命への影響が大きく、制限することで健康寿命が延長されるという。だが、なぜ摂取を制限すると健康寿命が延長されるのかについては不明な点が多いのが現状だ。

研究グループは、メチオニン制限を行う時期と寿命延長効果の関係を、ショウジョウバエを用いて解析した。その結果、中年期以降にメチオニン制限を行っても寿命は延長しないが、若年期だけメチオニン制限を行えば延長したことから、メチオニン制限による寿命延長効果は加齢で大きく低下することを発見した。

研究グループは「ライフステージ依存的な単一栄養素制限の効果の記述と、その機構解明はこれまであまりなされていない」と指摘。「この研究は栄養と老化の研究における先駆的な成果であると考えられる」とコメントしている。