東北大学の大隅典子教授らの研究グループは7日、精子に含まれるRNAの加齢による変化を確認したと発表した。それは神経系や自閉症を制御するということが示唆されている。この発見は神経発達障害のメカニズム解明やリスク診断の開発につながる可能性もある。科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」で掲載されている。
研究グループはマウスの精子に含まれる「マイクロRNA」の加齢による変化を網羅的に解析した。研究では月齢3カ月、12カ月、20カ月のマウスの精子のマイクロRNAを比較して量が変化したマイクロRNAを発見した。
加齢とともにマイクロRNAが変化していることが分かり、それらの中には神経系に関わる遺伝子、特に自閉症スペクトラム症の遺伝子を制御することが示唆されている。変化したマイクロRNAには、受精卵へ移行することが報告されているものも含まれた。
大隅教授らは「マイクロRNAなどのエピジェネティック因子に着目した研究を進めることが、神経発達障害の発症メカニズムの解明だけでなく、次世代の健康や疾病予防に資する」とコメントしている。